特集 病院サービスの新しいメニュー
地域貢献をどう実践するか
清水 茂文
1
1JA長野厚生連佐久総合病院
pp.427-430
発行日 2001年5月1日
Published Date 2001/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903274
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地域から消える老人
「農村地域から“消える老人”」という演題を発表したのは,1996年の第46回日本病院学会であった.当時筆者は佐久地域の中山間部にある,小さな診療所に勤務していた.診療圏は過疎高齢化が進み,介護問題が大きな地域課題になっていた.地域医療を展開するうえで高齢者介護の問題,とりわけ在宅介護(ケア)に力を入れて取り組んだ.この点で一番困難を感じたのは,独居または老夫婦2人暮らし老人,痴呆性老人のケアであった.
これらの老人は一定の生活困難が発生すると,住み慣れた地域を離れ都会の子どものところか,老人施設に消えていった.こうして消えた21名の老人を追跡したのが,先の報告である.関係者が協力し全力を尽くしても,支えきれないのである.「…仕方ないよ」といってムラを後にする老人たちを見送るたびに,つらい気持ちになった.
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