ほっとコーナー
緊急輸血へ貢献するために
今野 隆子
1
1(財)広南会広南病院検査部
pp.934
発行日 1999年6月15日
Published Date 1999/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903915
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当院は189床の小規模ながら,7名の臨床検査技師が24時間体制でポケットベルにより対応している救急病院である.脳外科を中心としているので,緊急としての輸血検査が多くを占める.特に予期せぬ術中の大出血となると,備蓄を置かない方針の検査部にとっては,あまりにもめまぐるしく,かつ緊張した時間を迎えることになる.どんなに最先端の外科的な技術を駆使しても,生身の人間の体であることに変わりはないと認める時だ.
まず,検査部の輸血担当者(時間外は当番)が血液センターに連絡をとり,とりあえず手術室からのオーダー分を取り寄せる.院内に在庫が少しでもあれば交差適合試験に入るが,各型の在庫は十分ではなく,たいていは緊急出動を願うことになる.製剤が届くのに速くても25分はかかるので,手術室からの催促に強靱に耐えなければならないのが一番の試練だ(ときに泣きたくなることもある).つい先日も手術中の脳外科医から「このままだと患者が危ない」といわれたときはさすがに足が震えた.
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