Japanese
English
特集 最新の糖尿病治療とリハビリテーション
生活指導
Lifestyle guidance
坂根 直樹
1
Naoki Sakane
1
1国立病院機構京都医療センター臨床研究センター予防医学研究室
1Division of Preventive Medicine, Clinical Research Institute, National Hospital Organization Kyoto Medical Center
キーワード:
運動
,
糖尿病
,
ポーションコントロール
,
体重測定
Keyword:
運動
,
糖尿病
,
ポーションコントロール
,
体重測定
pp.395-400
発行日 2016年5月10日
Published Date 2016/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200588
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はじめに
わが国では,食生活やライフスタイルの近代化と高齢化に伴い,糖尿病患者が増加している.糖尿病は,別名「血管の病気」と言われるが,いわゆる糖尿病3大合併症(神経障害,網膜症,腎症)や大血管症(心筋梗塞,脳卒中など)だけでなく,認知症や骨折リスクも高くなる.例えば,アルツハイマー病など認知症リスクは2倍前後となる.アルツハイマー病は,アミロイドβの脳への蓄積が原因であるが,アミロイドβの排除機構に脳血管の拍動とアポリポ蛋白が関連している.2型糖尿病の股関節の骨折リスクは1.3倍なのに対し,1型糖尿病の骨折リスクは5.8倍にもなる.高齢の2型糖尿病患者にとって身体不活動は心血管リスクとなるが1),少しでも身体を動かすことは寿命を伸ばすことにつながることが報告されている2).これらの合併症を予防するためには生活指導が必要となるが,糖尿病患者に生活指導を行うと「もう年だから」,「膝が痛くて歩けない」,「天候が悪くて運動できない」などいろいろな言い訳をする.これを心理学では「抵抗」と呼んでいる.われわれ医療従事者にはこの抵抗を減らす生活指導の方法論が求められている.また,健康的な生活習慣を習慣化させるためには継続的な生活指導が求められる.ところが,「仕事が忙しい」,「自覚症状がない」などの理由でドロップアウトすることも多い.そこで,本稿では「生活指導」と題して,糖尿病患者に多い心理傾向と対策などについて概説する.
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