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はじめに
人間が社会で生活していくうえで,他者との協調は不可欠であり,そのためには自己の意思を相手に伝え理解してもらい,また相手の意思を受け取り理解することが必要である.この相互理解,すなわち双方向性の意思疎通がコミュニケーションである.コミュニケーションが成立することで,人は日々の生活において生き甲斐や,社会を構成する一員としての「参加」の機会と自己の役割を見出すことができ,社会で暮らすことにおいて重要な意味をもつことになるといえる.そのため,コミュニケーション自体が社会参加につながる「活動」行為に相当する.
一般的なコミュニケーションは,まずは,一方からの意思伝達(意思表出)から始まる.つまり,意思表出はコミュニケーションを構成する要素の中で,最も大切な要素の1つとして考え,すべての人にとって,その自由が保障(確保)される必要がある問題として考えなければならない課題である.このとき,音声言語や文字などを介してのバーバルコミュニケーションが一般的である.音声言語や上肢の運動機能の障害により発語や筆記の制限がある場合には,残存する身体機能の残存機能のみでの意思表出は極めて困難であり,テクノロジー(支援技術)の活用により,拡大・代替コミュニケーション(augmentative and alternative communication;AAC)として実現が可能になる1).
本稿では,意思表出のためのために用いられる支援技術・機器,すなわちコミュニケーション機器(communication aids;CA機器)を対象に,障害の程度に応じた有効な支援機器の特徴と適用例,さらには制度利用の留意点等を解説する.
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