Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
日本の住宅政策におけるバリアフリー化の取り組みは,高齢化社会の到来とその後のさらなる未曾有の高齢者人口の増加予測を背景に,1995(平成7)年の建設省による「長寿社会対応設計指針」策定と設計マニュアル1)公開から始まった.これは,初めて移動方法・移動能力別に新築住宅で整備するべきバリアフリー仕様が規格化されたもので,住宅において多様な身体状況を想定した住環境の整備と,福祉機器の活用に配慮した仕様の必要性が示された.この指針に示すバリアフリー化の誘導基準を用いて,基準を満たす新築住宅に対して当時の住宅金融公庫融資で割増融資を行い,民間住宅のバリアフリー化を誘導した.
その後,1999(平成11)年の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」制定により,国土交通省は「住宅性能表示基準」2)を示した.この基準は,構造の安定,火災時の安全,高齢者等への配慮等10分野29項目(2005年改訂後)について住宅性能を消費者にわかりやすく示すことを目的とする.高齢者等への配慮に関する住宅性能をバリアフリーの整備程度に応じて5段階で評価,表示を義務付けるものである.この制度の整備により各企業がばらばらに解釈していたバリアフリーの基準が統一された.
これら政策による住宅のバリアフリー化に伴い,住宅設備機器のバリアフリー仕様,高齢者配慮仕様の開発と製品化が促進された.住宅設備機器については,同居家族との共用が前提であり福祉機器というよりは共用,高齢者配慮といったコンセプトで開発されてきた.従来は特定使用者を想定したタッチパネル文字表示と操作誘導,音声案内などの機能は,今日では住宅用設備機器の標準的な機能・仕様となっている.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.