Japanese
English
特集 がんのリハビリテーション
小児がんへの取り組み
Rehabilitation in patients with cancer;Social rehabilitation for pediatric patients with cancer.
上出 杏里
1
Anri Kamide
1
1国立成育医療研究センターリハビリテーション科
1Division of Rehabilitation Medicine, National Center for Child Health and Development
キーワード:
小児がん
,
小児がん経験者
,
晩期合併症
,
社会参加
Keyword:
小児がん
,
小児がん経験者
,
晩期合併症
,
社会参加
pp.1153-1159
発行日 2014年12月10日
Published Date 2014/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200076
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はじめに
小児がんは,白血病,脳腫瘍,神経芽腫など小児期に発症する悪性腫瘍の総称である.本邦における年間発症数は2,000〜2,500人と稀少だが,小児期の死亡原因の上位を占める.2009〜2011年に実施された全国がん診療連携拠点病院における小児がん実態調査(20歳未満)1)によると,国際小児がん分類別に,白血病27.6%,脳腫瘍22.8%,リンパ腫8.8%,胚細胞腫瘍8.3%,軟部腫瘍6.8%,骨腫瘍6.5%,肝腫瘍5.0%,神経芽腫4.7%,網膜腫3.2%,腎腫瘍1.7%,その他のがん3.6%と,白血病と脳腫瘍で小児がんの半数を占めている.
近年,医療技術の進歩により治療成績が高くなったため,小児がん経験者の70%以上が治癒しており,成人期を迎えた小児がん経験者は成人の400〜1,000人に1人に相当することが指摘されている2).一方で,晩期合併症は治療後すぐに現れず,治療後10年,20年,30年以上たってから問題になることもあるため3),慢性疾患として長く付き合っていく必要があり,成人となるまでの教育,社会参加の視点から長期的な支援が求められている.近年,成人がん患者では,リハビリテーションの重要性が認識され,周術期,緩和期の入院患者を対象としたリハビリテーション介入が浸透してきているが,働く世代を対象とした寛解期における社会的支援とリハビリテーション医療の連携不足が指摘されている4).これは,小児がん患者が成人となってからの支援移行の体制を整えていくうえでも検討が必要な事項である.
本稿では,成人のがんとは異なる小児特有のがん患者の課題について,当院での取り組みを交えながら述べる.
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