集中講座 臨床研究倫理ことはじめ・第9回
個人情報の保護
神山 圭介
1
1慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター
キーワード:
プライバシー
,
個人情報
,
個人情報保護法
,
ヘルシンキ宣言
,
倫理指針
,
多施設共同研究
Keyword:
プライバシー
,
個人情報
,
個人情報保護法
,
ヘルシンキ宣言
,
倫理指針
,
多施設共同研究
pp.891-893
発行日 2014年9月10日
Published Date 2014/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110633
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研究協力者のプライバシー
臨床研究の対象となる研究協力者に予期される不利益は,研究の種類や内容によりさまざまですが,臨床研究がヒトを対象とする研究である限り,プライバシーの侵害が生じる潜在的可能性を完全に排除することは困難です.そのため研究者等は,自身の研究で研究協力者にどのようなプライバシー侵害が生じうるのか,またそのリスクをゼロないし最小限とするためにはどのような対応をとるべきか,さまざまな視点から事前によく検討し,最大限の実行可能な対策を講じなければなりません.
健康成人を対象とする一部の第Ⅰ相臨床試験を除き,ほとんどの臨床研究は患者さんを対象として行われます.例えば,「研究協力者Xさんは,A病院のB科へCという疾患の治療で通院していて,Dという臨床研究の適格基準を満たしていたため,説明を受けて研究参加に同意し,無作為割り付けにより試験治療E(あるいは標準治療E')を受け,その転帰はFだった」という情報について考えてみましょう.A病院に勤務する医療従事者にとって,これらはカルテなどから容易に知り得る情報ですが,研究協力者のXさん個人にとっては,どれも自身のプライバシーにかかわる大切な情報で,診療や臨床研究に関係のない第3者へ不必要に開示されることを望まないのは,ごく当然のことです.
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