Japanese
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特集 神経難病とリハビリテーション
神経難病に対する診断,治療,および在宅療養支援
Diagnosis, therapy, and home-care for intractable neurological diseases.
中村 昭則
1,2
,
吉田 邦広
3
Akinori Nakamura
1,2
,
Kunihiro Yoshida
3
1信州大学医学部附属病院難病診療センター
2信州大学医学部在宅療養推進学講座
3信州大学医学部神経難病学講座
1Intractable Disease Care Center, Shinshu University Hospital
2Department of Home-Care Promotion, Shinshu University School of Medicine
3Department of Brain Disease Research, Shinshu University School of Medicine
キーワード:
神経難病
,
臨床診断
,
遺伝子治療
,
在宅療養支援
Keyword:
神経難病
,
臨床診断
,
遺伝子治療
,
在宅療養支援
pp.497-505
発行日 2014年6月10日
Published Date 2014/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110517
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はじめに
“難病”とは,厚生労働省による難病対策要綱の中で,① 原因不明で治療法が未確立であり後遺症を残すおそれの少なくない疾患,② 経過が慢性に渡り,単に経済的な問題のみならず介護等にも著しく人手を要するために家族,療養支援者の負担が重く精神的にも負担が多い疾患として,医学的および社会的に定義されている.現在,130疾患が指定されているが,そのうちで脳,脊髄,末梢神経,筋の神経系に障害を引き起こすものを“神経難病”と呼ぶ(41疾患).神経難病には運動ニューロン病(筋萎縮性側索硬化症,脊髄性筋萎縮症),脊髄小脳変性症,多系統萎縮症,パーキンソン関連症候群(パーキンソン病,大脳皮質基底核変性症,進行性核上性麻痺)などの神経変性疾患や,多発性硬化症,重症筋無力症,ギラン・バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発根神経炎,多発・皮膚筋炎などの免疫性神経疾患が含まれる.このなかには,必ずしも上記の定義に合致せず,原因が解明されている疾患や,有効な治療法が確立されている疾患も含まれている.神経難病では病因,あるいは治療法の有無にかかわらず身体機能の回復,維持のためのリハビリテーションや在宅療養の支援が非常に重要である.
今回の特集では,筋萎縮性側索硬化症,脊髄小脳変性症,多発性硬化症については他項で個別に述べられるため,本稿では総論的に神経難病の臨床診断,遺伝子治療,リハビリテーションについて概説した後,信州大学で行っている神経難病患者に対する訪問診療や電子連携システムによる在宅療養支援について紹介したい.
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