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はじめに
筆者は障がい者医療に特化した医療機関に所属するソーシャルワーカー(Social Worker:SW)である.難病とともに生きる患者のさまざまな生活課題について多職種で支援を展開し,その中で就労に関する相談は医師,看護師,リハビリテーション療法士と協働しながら行っている.重度の障がいをもち,しかも進行していく難病の特性から,就労に関する課題は多岐・複雑であり,本人だけではなく職場への働きかけも必要になってくる.
上田敏氏の『リハビリテーションを考える』の中に「チームワークとは多様なニードに応じて,多数の専門家がそれぞれの角度から患者の障がいのそれぞれの側面に対して,分担して取り組むと同時に,それが結局は一個の独立した個人である患者・障がい者を細切れのパーツに分けてバラバラに治療したりすることにならないように,絶えず緊密な連絡をとり,一つの方向に向けて推進していく統一的な活動なのである」とある1).まさしく就労は,医療・職場・福祉それぞれの機関と支援を必要とする人にかかわる多くの人の協働(チームワーク)によって可能となる.
就労に関しては「働き方改革」のもと,働き方に関する法律が改正され,病気を抱えながら働くことへの支援や障がいがある人の支援をまとめたガイドライン2)が作られるなどの整備が進んできている.しかしガイドラインでは障がいの残る場合や難病の場合について概論的に触れているものの,先に述べたような神経難病の特性や個別性に応じた具体例に言及することは難しい.
このような時代の流れも踏まえたうえで「神経難病と就労支援」についてSWの立場から考えてみたい.本稿ではまず事例を提示し,難病患者の就労における支援と課題について考察していく.
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