Japanese
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症例報告
慢性期片麻痺上肢へのボツリヌス毒素療法と促通反復療法との併用が著効を呈した1例
Improvements in motor function of hemiplegic upper limb by combined therapy of repetitive facilitation exercise and botulinum toxintype A in a patient with chronic stroke.
奥山 優子
1
,
中馬 孝容
2
,
緒方 敦子
3
,
川平 和美
3
Yuko Okuyama
1
,
Kouyou Chuma
2
,
Atsuko Ogata
3
,
Kazumi Kawahira
3
1野洲病院リハビリテーション課
2滋賀県立成人病センターリハビリテーション科
3鹿児島大学大学院医歯学総合研究リハビリテーション医学分野
1Department of Rehabilitation, Yasu Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Shiga Medical Center
3Depertment of Rehabilitation and Physical Medicine, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima University
キーワード:
促通反復療法
,
ボツリヌス毒素療法
Keyword:
促通反復療法
,
ボツリヌス毒素療法
pp.1143-1146
発行日 2013年12月10日
Published Date 2013/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110342
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はじめに
A型ボツリヌス毒素治療(以下,BTXA療法)は2009年に小児脳性麻痺の下肢痙縮に伴う尖足に,2010年に上下肢痙縮に対する治療が承認され,研修を受けた医師により施行されている.ボツリヌス毒素は筋の神経筋接合部ならびにγ運動線維終末に作用し,筋収縮と筋紡錘弛緩によるⅠa求心性線維の活動抑制を介して,伸張反射の抑制や相反抑制によって痙縮が軽減するとされている1-3).
現在の痙縮へのボツリヌス治療の大きな課題は ① 麻痺重度例では通常3~4か月ごとに必要とされる注射の痙縮抑制の効果を持続させるリハビリテーションと ② 随意性の残る軽中度例では痙縮抑制後に麻痺肢の随意性をさらに高めるリハビリテーションの確立であろう.特に,ボツリヌス療法による痙縮抑制効果は多くの検証で確認されているが,運動機能の向上効果については有効とするほどの結果が得られておらず4),今後どのようなリハビリテーションとの併用が麻痺の改善をもたらすかの検討がまたれている.
今回,発症から8か月以上経過した脳卒中片麻痺患者に3回のBTXA療法と週2回の外来リハビリテーション(促通反復療法)5)を併用し,運動機能の大きな改善を認めた症例を経験したので報告する.
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