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特集 障害児者に関わる法制度改革の動向
2011年改正障害者基本法の意義―障がい者制度改革の成果
Significance of basic law for persons with disabilities amended in 2011―result of disability policy reform.
藤岡 毅
1
Tsuyoshi Fujioka
1
1藤岡毅法律事務所
1Fujiokatsuyoshi Law Office
キーワード:
障害者制度改革
,
障害者権利条約
,
障害(者)の社会モデル
Keyword:
障害者制度改革
,
障害者権利条約
,
障害(者)の社会モデル
pp.711-721
発行日 2013年8月10日
Published Date 2013/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110200
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はじめに
2011年7月29日国会で成立し,同年8月5日公布・施行(ただし一部は後日施行)された改正障害者基本法は,近年の障害当事者主導の障害者制度改革の成果であり,従来の行政官僚により行われてきた制度変更とは意味あいが決定的に違う.例えば,労働者の権利は憲法27条,労働基準法などで保障されているが,「法律に書かれているから」保障されているわけではなく,労働運動の成果にほかならない.障害者の権利も同様であり,障害者運動なきところに障害者の権利も存在しない.さらにいえば,障害者の権利が守られていない現実があるからこそ,運動が必要なのであり,権利を守るための法制度が必要になる.
従来,特にこの国では,権利や制度は「お上」(役所・国など)が作ってくれるものという感覚が根深い.今回の2009~2012年を中心とする障害者制度改革とその成果の結実の象徴というべき改正障害者基本法の意義はそのような従来のお仕着せの改革と一線を画す,障害当事者自身の声を基礎とした,障害者が真に人権享有主体となる社会を目指すことを法制度上確認する歴史的な一歩である.
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