Japanese
English
短報
回復期脳卒中片麻痺患者の歩行効率に短下肢装具が与える影響―力学的エネルギーによる検討
Effects of ankle foot orthosis on walking efficiency in patients with subacute hemiparetic stroke.
井上 靖悟
1
,
小宅 一彰
1
,
山口 智史
2
,
田辺 茂雄
3
,
近藤 国嗣
1
,
大高 洋平
1,2
Seigo Inoue
1
,
Kazuaki Oyake
1
,
Tomofumi Yamaguchi
2
,
Shigeo Tanabe
3
,
Kunitsugu Kondo
1
,
Yohei Otaka
1,2
1東京湾岸リハビリテーション病院
2慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
3藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
1Tokyo Bay Rehabilitation Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
3Faculty of Rehabilitation School of Health Science, Fujita Health University
キーワード:
歩行能力
,
片麻痺
,
装具療法
,
重心運動
,
力学的エネルギー
Keyword:
歩行能力
,
片麻痺
,
装具療法
,
重心運動
,
力学的エネルギー
pp.661-665
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110179
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要旨:〔目的〕回復期の脳卒中片麻痺患者に対する短下肢装具の着用が歩行効率に及ぼす影響について,力学的エネルギーから検討した.〔方法〕対象は,回復期脳卒中患者25名.平均年齢は61±14歳,平均発症後期間は14±5週,診断名は脳梗塞14名,脳出血11名であり,麻痺側は右9名,左16名であった.課題は,短下肢装具の有無の2条件で,快適速度での10m歩行とした.歩行能力の評価は,10m歩行の歩行速度,歩行率,重複歩距離とした.力学的エネルギーは,体幹に小型無線加速度計を設置し,加速度データから位置エネルギー,運動エネルギー,全力学的エネルギーを算出した.歩行効率の評価は,一歩行周期の各エネルギーの増加量および力学的エネルギー交換率(%Recovery;%R)を用いた.〔結果〕短下肢装具着用によって,歩行速度,歩行率,重複歩距離は有意に向上した(p<0.01).各エネルギーの増加量は有意に減少した(p<0.01).%Rは有意に増加し,歩行効率が改善した(p<0.01).〔考察〕回復期脳卒中患者に対する短下肢装具の使用は,歩行能力を向上させ,歩行効率を改善することが示された.この改善には,歩行における重心の上下運動(位置エネルギー)や歩行周期内の速度変化(運動エネルギー)の減少が関与していると考えられた.
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