Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
厨川白村の『左脚切断』―大正前期の障害受容
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.388
発行日 2013年4月10日
Published Date 2013/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110090
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厨川白村(1880-1923)が大正4年に発表した『左脚切断』(『厨川白村集第6巻』)には,35歳で感染症によって左脚を切断せざるを得なくなった時の状況が記されている.
白村は,最初に異常を感じた時の状態を,「ふと左足に,ほんのかりそめの傷をしたのが原になって,ひどく腫れ上って痛み出した.発熱も甚だしくなり,我慢にも歩行などは出来なくなった」と語る.左脚の状態は次第に悪化し,白村は京大病院に入院して手術を受けることになるが,手術当日の朝,助教授が来て,「生命には代えられませんから切断します」「足を切っても幸いあなたの仕事には差支えが無いので」と言ったという.
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