連載 障害者スポーツ
スポーツを介した社会参加と統合
中森 邦男
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1(公財)日本障害者スポーツ協会日本パラリンピック委員会事務局
キーワード:
パラリンピック
,
スポーツの一体化
,
身体運動
Keyword:
パラリンピック
,
スポーツの一体化
,
身体運動
pp.386-387
発行日 2013年4月10日
Published Date 2013/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110089
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はじめに
障害者の競技スポーツを象徴するパラリンピックは,オリンピックと同様に最新のスポーツ科学による強化が必要なほどエリート化が進んだ.パラリンピックが生まれたきっかけは,第2次世界大戦で負傷し脊髄損傷者となったイギリスの傷痍軍人に対するリハビリテーションであった.それまでのリハビリテーションでは,病院退院後の社会復帰がままならなかったため,社会復帰を想定して,脊髄損傷者が前向きな気持ちをもてるように,リハビリテーションとともにスポーツを取り入れたことで,身体が健康になるだけでなく,心の健康にもつながり,社会生活ができるようになった.ここで行われたスポーツがスポーツフェスティバルとなり,国際大会の開催となり,パラリンピックの発展につながった.ロンドンパラリンピックでは,従来の障害者のエリートスポーツとしての側面がさらに追及され,オリンピックとの距離が一段と近くなった.それはスポーツ本来の意義においては,オリンピックもパラリンピックも同じと感じさせるほどであった.
現在,日本ではスポーツ基本法が制定され,文部科学大臣によるスポーツ基本計画では,政府のスポーツ政策が大きく変わろうとしている.障害者のスポーツ振興についても,競技力の向上とともに,地域のスポーツ振興についても言及され,豊かなスポーツライフ実現の手順が示された.この豊かなスポーツライフの実現を考るにあたり,ロンドンパラリンピックでみられたイギリスの状況を参考に検証したい.
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