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増大特集 新・リハビリテーション技術
総論―評価・診断・治療・他
診断
筋骨格コンピュータモデルによる動作分析
Motion analysis with a computer model of the musculoskeletal system.
長谷 和徳
1
Kazunori Hase
1
1産業技術総合研究所
1National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
キーワード:
筋骨格モデル
,
モデル解析手法
,
生体内負荷
Keyword:
筋骨格モデル
,
モデル解析手法
,
生体内負荷
pp.1037-1043
発行日 2002年11月10日
Published Date 2002/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109900
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はじめに
歩行などの身体動作における筋骨格系への力学負担や動作特性を定量的に分析することは,運動リハビリテーションの診断にとって重要である.従来,このような動作分析は光学式の3次元運動計測装置やゴニオメータによる関節角度などの運動学データの計測,床反力計による床反力の計測,さらには筋電計による筋活動電位の計測など,身体外部から直接計測可能な物理量に基づいて行われていた.しかしながら,このような直接計測で得られる情報には実験的制約がつきまとう.例えば,関節面に作用する関節反力や深層筋の筋活動状態のような物理量を直接的に計測することはきわめて困難である.
そこで,身体筋骨格系の力学的条件を数式により表現した数学モデルを用い,直接計測が可能な物理量から計測困難な生体内負荷を推定する計算手法が主にバイオメカニクスの分野で研究されている.このような数学モデルを用いた身体動作分析は国内では1970年代より盛んに研究されるようになった1).その後,コンピュータや運動計測技術などの発達に伴い,この数学モデル技術も高度化し,基礎的研究だけでなく臨床診断にも十分に耐え得る段階になりつつある.
本稿では,この筋骨格コンピュータモデルに基づいた身体動作の分析手法(以下,モデル解析手法)の概要と,臨床応用に関する留意点について言及したい.
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