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特集 リハビリテーション医学教育の新しいうねり
リハビリテーション医学卒前教育の現状と取り組み
Current state of undergraduate education of rehabilitation medicine in The University of Tokyo.
江藤 文夫
1
Fumio Eto
1
1東京大学大学院医学系研究科リハビリテーション医学
1Department of Rehabilitation Medicine, The University of Tokyo Graduate School of Medicine
キーワード:
医学教育
,
カリキュラム改革
,
臨床実習
Keyword:
医学教育
,
カリキュラム改革
,
臨床実習
pp.409-414
発行日 2002年5月10日
Published Date 2002/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109758
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はじめに
わが国の医学教育は大きな改革を必要とすると言われて久しいが,近年ようやく変革の動向が明らかになってきた.わが国の医学教育の問題点としては,①カリキュラムが記憶教育に偏重して過密であること,②大学間,科目間の教育のばらつきが大きく,到達目標が定かではないこと(厚生労働省の視点からは,医師国家試験をクリアすること),③基礎科目と臨床科目の間,あるいは講座間の壁により円滑な学習を阻害すること,④臨床実習が見学型で十分な臨床能力を身につけることが困難であること,⑤教える側の能力,評価,向上を進める努力が不足していること,などが指摘されてきた.
一方,規制緩和の政策もあって,こうした問題点を改善すべくこの10年間に多くの大学(主として私立大学)で独自のカリキュラム改革が実施されてきた.しかし,2004年度からの施行が予定される卒後研修義務化の実態に大きく影響する「医学教育モデル・コア・カリキュラム―教育内容ガイドライン―」が提案されたことにより,改めて各大学で卒前教育カリキュラムの見直しを迫られている.
日本リハビリテーション医学会では,1993年度に医学教育委員会により卒前教育ガイドラインを作成し提案した1).1996年度にはリハビリテーション医学卒前教育・診療に関するアンケート調査を実施した2).その報告では,教育態勢や内容において大学間の差が著しいこと,概して国立大学は私立大学に比し不備な状態にあることが明らかにされた.この数年,国立大学病院でもリハビリテーション部の設置や整備が相次いで認められるようになったが,教育態勢に関してはほとんど変化がない.
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