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はじめに
医学教育の改革においては,膨大化した医学の知識を医療として患者に提供する能力を養うために必要な卒前・卒後教育の体系化が進められ,実際にそれらを実施していく時期を迎えている.そのカリキュラムは,医学・医療の高度化に対応できるような知識を修得させるためだけでなく,医師に求められている課題が何であるかを履修者に広く提示するとともに,いかなる専門分野においても,患者を中心とした全人的医療を提供できる医師を育成することを目的としている1,2).すなわち,「患者のあらゆる健康問題を解決する基本的な医療」としてのプライマリ・ケアを重視し,そのために必要な問題解決能力を修得させるのに適した「参加型」および「発見学習」方式の臨床研修への転換が求められている.これらを誘導すべく導入される卒前・卒後の医学教育制度の概要を以下に紹介し,医学教育改革におけるリハビリテーション医学の役割と展望を述べる.
卒前教育
「医学・医療の社会的ニーズの多様化に伴い,様々な人材の育成が必要となり,そのためには精選された基本的内容を重点的に履修させるコア・カリキュラムを確立させ,学生が主体的に選択履修できる科目を拡充・多様化することが必要である.」(21世紀医学・医療懇談会第4次報告).さまざまな人材とは,「かかりつけ医機能を担う人材,医療・福祉・介護の連携の要となる人材,国際医療協力に携わる人材,生命科学などの学際的な基礎研究に携わる人材」とされる.多様な人材を養成するうえでは,他分野の学問を修得し,明確な目的意識を持った学士を医学部に編入させることで,医学と他領域との学問的融合を図る学士編入学制度の普及・充実も,医学教育改革の一環として進められている2).
社会に求められる人材の育成を目標とした新しい卒前医学教育の体制(図1)2)は,必須の共通学習項目に対する教育をコア・カリキュラム3)として統合することによって,生命科学,前臨床医学,社会医学に関する選択性カリキュラムを,各大学が独自の教育理念に基づいて拡充し,学生の能力・適正・進路などの個人差とニーズに応じた自己開発型学習の開発・普及を目指している4).
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