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特集 脊髄損傷―最近の話題
脊髄損傷後疼痛に対する脊髄電気刺激療法
Spinal cord stimulation for pain following spinal cord injury.
丸石 正治
1
Masaharu Maruishi
1
1広島県立身体障害者リハビリテーションセンター
1Hiroshima Prefectural Rehabilitation Center
キーワード:
脊髄電気刺激療法
,
脊髄損傷
,
慢性疼痛
Keyword:
脊髄電気刺激療法
,
脊髄損傷
,
慢性疼痛
pp.205-209
発行日 2002年3月10日
Published Date 2002/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109704
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はじめに
脊髄損傷に起因する慢性疼痛は重要な問題で,リハビリテーションの主要阻害因子である.脊髄損傷者のおよそ65%が慢性疼痛を合併し,そのうち約3分の1が難治性疼痛である1)と報告されている.
脊髄損傷後慢性疼痛のメカニズムは全て解明されていないが,臨床観察や動物実験によると,多くの要因が関与していると考えられる2,3).すなわち,機能的あるいは構造的な神経可塑性変化によって神経細胞興奮性が変化する「神経原性疼痛」の他に,筋肉攣縮や骨関節痛,さらには心因性疼痛まで関与する.
これら脊髄損傷由来難治性疼痛に対しては,薬物治療,理学療法,心理療法の他に,外科治療もその有効性が報告されている.脊髄電気刺激療法(Spinal cord stimulation;SCS)は,疼痛に対する代表的外科治療の一つで,脊髄損傷後難治性疼痛への有効例が報告されているが4),同時に長期効果に乏しいことも指摘されている5).
以上より,脊髄損傷後疼痛に対するSCSの有効性を増すためには,脊髄損傷後疼痛の病態を理解したうえでSCSの適応を正しく行うことが重要である.本稿では,脊髄損傷後疼痛について説明したうえで,さらに脊髄電気刺激療法の理論と実際,脊髄電気刺激療法の適応と問題点,疼痛以外の合併症への応用について説明する.
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