Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ハリー,見知らぬ友人」―殺人も厭わない親切さ
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.873
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109586
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巷間,凶悪な殺人者の“精神障害者性”が議論されている.このこと自体,精神障害者にとっては逆風である.周囲からいとも簡単にアブナイ奴,反社会的な奴という烙印を押される可能性が強まっているからだ.たしかにメディアも異常な事件を引き起こした人たちに対して“人格障害”というタームを貼り付け,まっとうに生きている圧倒的多数の精神障害者と区別するべくカテゴリー化を図っている.しかし,人格障害といっても結局のところ精神障害のフレームの中に納まっており,人格障害者に対する治療,救済のシステムが構築されないかぎり逆風を押し戻すことはできないだろう.
「ハリー,見知らぬ友人」(監督/ドミニク・モル)のハリーもおそらく人格障害者.
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