連載 赤いコートの女―女性ホームレス物語・16
友人としての関係
宮下 忠子
1
1コミュニティワーカー制度を考える会
pp.1009-1011
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100212
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2人の性格
波さんと平沢さんは,今友達として付き合っている.平沢さんも,最初の出会いから思い起こすと,随分変わった.現在生活保護を受けているが,日々刹那的な隅田川テント暮らしの頃に比べると,生きる姿勢が前向きになってきた.
「毎日,ハローワークに行って自分の体力に見合った軽労働の仕事を探しているけど,全然見つからないよ.何せ,この不況でしょう.リストラされた人たちでごった返していて,俺なんかよいほうなのだよ」
「やる気はあるのね」と私.
「もちろんあるよ.福祉でも,『8月までに何とかしなさい』と言われているけれど,50歳を過ぎて病気持ちでは,相手にさえしてくれないよ.ハローワークは失業者で溢れているのだから,毎日行くのが空しくなる」
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