コーヒーブレイク
友人
I. S.
pp.224
発行日 1980年3月1日
Published Date 1980/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202017
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現在の生活を考えてみると,仕事の関連で多くの方々におつき合いいただいているし,友情というか御厚情も有難くお受けしている.しかし,何でもお互いに言えるといった間柄は少ない.そんな友人というとまずA君を思い出す."友人とは時間の盗人だ"という言葉もあるが,彼とつき合っていたのは中学のころで,いまより時間があったような気がするし,こういう時間がないと,何のために生きているのか理由がないような気がしていた.彼は級長で学校ではかなり"つっぱって"いたように思うが,私と二人のときはそれが全くなくなり,これが友人の証と思っていた.ある日,私の家に来た彼が,物干し場に興味を持っていることが分かり,不思議に思って問い詰めたところ,彼のしどろもどろの答を整理してみると,①A君の所は男の兄弟のみである,②女性は母のみで和服である,③この家には妹がいるので,干し場には女の子の下着が干してある,④A君は女の子はどのような物を,どのような順序で身に着けるのかを知りたい,のであった.
熱心な弟子にものを教える先生の喜びを最初に味ったのはそのときであったが,また途中で分からなくなったりして,"人は教えながら学ぶのだ"ということも知った.
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