Japanese
English
研究と報告
箸操作訓練における身体的ガイドの有効性
The effectiveness of physical guidance for chopsticks operation.
鈴木 誠
1
,
山﨑 裕司
2
,
大森 圭貢
3
,
畠山 真弓
3
,
笹 益雄
4
Makoto Suzuki
1
,
Hiroshi Yamasaki
2
,
Yoshitsugu Omori
3
,
Mayumi Hatakeyama
3
,
Masuo Sasa
4
1川崎市立多摩病院リハビリテーション科
2高知リハビリテーション学院理学療法学科
3聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院リハビリテーション部
4聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院整形外科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kawasaki Municipal Tama Hospital
2Department of Physical Therapy, Kochi Rehabilitation Institute
3Department of Rehabilitation Medicine, St Marianna University, Yokohama City Seibu Hospital
4Department of Orthopedics, St Marianna University, Yokohama City Seibu Hospital
キーワード:
脳血管障害
,
右片麻痺
,
認知機能障害
,
箸操作訓練
,
応用行動分析学
Keyword:
脳血管障害
,
右片麻痺
,
認知機能障害
,
箸操作訓練
,
応用行動分析学
pp.585-591
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100323
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はじめに
食事は人間が生きていくうえで必要不可欠な行動である.食行動のなかでも,とりわけ箸の使用はわが国の文化に深く根ざしており,食器を片手に持ちながら箸のみで食事をすることが習慣となっている.ただし箸には,摘む,切る,挟む,刺すなど多岐に亘る機能があるため,その操作には高度な巧緻性が必要となる.そのため,脳血管障害などによって利き手に重度の運動麻痺を呈し,利き手交換を余儀なくされた患者にとっては動作の再獲得が難しく,とくに認知障害を合併した場合には,動作の再獲得がきわめて困難な状況に陥ってしまう.しかしながら,臨床においてこのような患者に対する具体的な訓練の方法論はなく,多くは言語指示やジェスチャーのみの手掛かり刺激を用いた経験主義的な反復練習にとどまっているのが現状である.
近年,山﨑ら1)は,健常者に対して身体的ガイド法2)とフェイディング法2)を用いた箸操作訓練を実施した結果,言語指示とジェスチャーのみを用いて訓練した群よりも動作学習が良好であったと報告している.身体的ガイド法とは対象者の身体部位に手を添えて動作を誘導する方法を言い,フェイディング法とは手を添えた誘導を徐々に取り除いていく方法を言う2).このような手掛かり刺激の調整によって,失敗経験の少ない動作学習過程を提供することが可能になるとされている2).
そこで今回われわれは,重度の認知機能障害を呈した症例に対して身体的ガイド法とフェイディング法を用いた箸操作訓練を実施し,その有効性をシングルケースデザインにて検討した.
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