Japanese
English
研究と報告
麻痺肢注視による片麻痺下肢筋力の変化
Effects of visual attention on the hemiplegic leg on its muscle strength.
王 小軍
1
,
宝蔵 次郎
1
,
下堂園 恵
1
,
川平 和美
1
,
田中 信行
1
Syougun Wang
1
,
Jirou Houzou
1
,
Megumi Shimodouzono
1
,
Kazumi Kawahira
1
,
Nobuyuki Tanaka
1
1鹿児島大学医学部リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation and Physical Medicine, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
脳卒中
,
片麻痺
,
視覚情報
,
感覚障害
,
筋力
Keyword:
脳卒中
,
片麻痺
,
視覚情報
,
感覚障害
,
筋力
pp.743-747
発行日 2001年8月10日
Published Date 2001/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109558
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はじめに
麻痺肢の機能回復や麻痺側下肢への体重負荷を促進するための感覚フィードバックの手段として,筋電図1)や関節角度2),足底圧3)などを用いたバイオフィードバックが利用されているが,視覚フィードバックは従来から運動学習の初期において,四肢の動きをコントロールする手段として利用されている.近年,運動プログラムを持つ運動前野細胞は,その細胞が持つ運動プログラムに関連した対象を見ただけで活動が高まることが報告され4-6),視覚刺激はその刺激に関連した運動の準備状態を促すことが明らかになっている.
中枢性麻痺肢の随意性を回復するための促通的な運動療法においては,まず何らかの方法で麻痺肢に意図した運動を実現させ,それを反復することが重要である7).前述のごとく,「麻痺肢を見ること」が麻痺肢の随意性に影響を与えることが考えられるが,これまで,麻痺肢への注視による麻痺下肢の筋力や随意性の変化を定量的に検討したものは少ない.膝屈伸運動は,健常人では感覚情報のフィードバックが不要なバリスチック運動である.しかし,痙性や共同運動等を伴う中枢性運動麻痺においては,視覚情報の有無による筋力や随意性への影響を検討することは,片麻痺等の回復を促進する治療法改善の手がかりになるものと思われる.
今回われわれは,脳卒中による片麻痺肢の膝屈伸運動において,その下肢を注視した状態と視覚遮断状態を交互に設けて,等速性筋力,等張性筋力,等尺性筋力を測定し,視覚情報の影響ならびに麻痺や感覚障害の程度との関連を検討したので報告する.
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