脳血管障害 True or False
片麻痺麻痺肢の筋力は測れるか?
田中 宏太佳
1
,
蜂須賀 研二
2
,
緒方 甫
2
1労働福祉事業団東京労災病院リハビリテーション科
2産業医科大学リハビリテーション医学教室
pp.667-668
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108428
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片麻痺麻痺肢の筋力は測れない
以前から,片麻痺麻痺肢の筋力計測は不適切という意見がある.
Bobathは,1)片麻痺麻痺筋の筋力低下は拮抗筋の同時収縮による見せかけのものであり,拮抗筋の痙性が減弱すると筋力は正常となる,2)筋力は弱くても,集団パターンや異常緊張反射の一部として働くとき,強い筋収縮が可能である,3)感覚障害があるとみせかけの筋力低下を示すことがあり,強い感覚刺激により十分な筋収縮が得られる,4)共同筋による固定が不十分なため十分な筋収縮が得られない,という4つの理由を掲げ,片麻痺患者の各筋の筋力テストには信頼性がないと述べている1).また,Brunnstromは,片麻痺においては痙性がある限り,その運動は個々の関節の動きではなくパターンとしての動きであり,筋緊張は患者の体位などの環境要因によって変化するので,筋力テストは適切な評価とは認められないとしている2).Daniels and WorthinghamのMuscle Testingにおいても,上記の意見に加えて,空間識別やボディイメージの障害・中枢性バランス機構障害などのために中枢神経障害患者に筋力テストを行うことは適切でないと述べている3).
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