Japanese
English
特集 痙性麻痺の治療update
手術療法―脳血管障害による内反尖足に対する腱移行術
Tendon transfer for equinovarus deformity caused by cerebrovascular disease.
森田 定雄
1
Sadao Morita
1
1東京医科歯科大学理学療法部
1Division of Rehabilitation Medicine, Tokyo Medical and Dental University
キーワード:
内反尖足
,
痙性麻痺
,
腱移行術
,
脳血管障害
Keyword:
内反尖足
,
痙性麻痺
,
腱移行術
,
脳血管障害
pp.327-331
発行日 2001年4月10日
Published Date 2001/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109463
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
痙性麻痺による四肢の運動障害に対し,現在,実際に多くの手術療法が行われているものは,脳血管障害や脳性麻痺による足部変形に対する治療である.手術の目的は変形矯正であり,同時に行われる理学療法により運動機能の向上も目的とする.これらの疾患による足部変形は,骨・関節には異常はなく,筋力のバランスがくずれたために生じるものである.脳血管障害では,発症後,早期より適切な理学療法が行われれば,拘縮を防ぐことは可能であるが,麻痺の程度によって,筋力の不均衡により,立位や歩行時など動的な場面での変形は避けられない.これらの患者に対して,痙性の軽減のために,運動療法,薬物療法,神経ブロック,電気刺激が行われるが,確実に継続的な効果が期待できる点に手術療法の利点がある.
一方,上肢の変形に対しても手術療法の報告はあるが1),適応は限られており,手指の動きが多少改善されても,実用面から大きな効果は期待しがたく,一般にはあまり行われていない.これに対し,足部では細かい運動機能の改善がなくても,足部全体として変形が矯正されると,その効果が大きい.下肢変形の手術は内反(尖部)変形に対してだけでなく,疼痛の原因になっている槌趾や,膝の屈曲変形に対するものも行われるが,本稿では内反尖足変形を中心に述べる.
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.