Japanese
English
症例報告
槌趾・足関節内反に対し,ボツリヌス療法が効を奏した1例
A case report of Botulinum toxin type-A injection for effective treatment of hammer toes and foot inversion caused by spastic hemiplegia.
團 志朗
1,4
,
都丸 哲也
1
,
五十嵐 有紀子
1
,
石濱 裕規
2
,
金森 宏
2
,
門馬 博
3
,
千野 直一
1
,
高橋 秀寿
4
,
岡島 康友
4
Shiro Dan
1,4
,
Tetsuya Tomaru
1
,
Yukiko Igarashi
1
,
Hironori Ishihama
2
,
Hiroshi Kanamori
2
,
Hiroshi Monma
3
,
Naoichi Chino
1
,
Hidetoshi Takahashi
4
,
Yasutomo Okajima
4
1永生会永生病院リハビリテーション科
2永生会永生病院リハビリテーション部
3杏林大学保健学部理学療法学科
4杏林大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Eisei Hospital
2Division of Rehabilitation Services, Eisei Hospital
3Department of Physical Therapy, Faculty of Health Care Sciences, Kyorin University
4Department of Rehabilitation Medicine, Kyorin University School of Medicine
キーワード:
ボツリヌス毒素
,
痙縮
,
槌趾
,
内反尖足
,
足関節内反
Keyword:
ボツリヌス毒素
,
痙縮
,
槌趾
,
内反尖足
,
足関節内反
pp.261-264
発行日 2014年3月10日
Published Date 2014/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110439
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はじめに
短下肢装具歩行が導入された脳卒中痙性片麻痺患者の在宅生活慢性期の問題に槌趾・内反尖足がある.そして,槌趾・内反尖足の増悪による足趾変形・疼痛で歩行が制限されることも少なくない.槌趾・内反尖足が出現する理由には,足関節の拘縮傾向,痙縮の増悪が考えられる.特に槌趾は,立位あるいは歩行時に出現する足趾の緊張性屈曲反射,すなわちtonic toe flexion reflex(TTFR)に由来し,趾尖が慢性に圧迫されて胼胝を形成し疼痛を生じ,歩行に支障が出る1).一方,内反尖足(特に内反足)の増悪は,装具不適合を起こして痛みを惹起する.
上下肢の痙縮に対してA型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス®;BTX-A)を用いる治療が一般化するなか,足クローヌスを伴うような下肢痙縮では下腿三頭筋が治療対象となることが多い.しかし,下腿三頭筋のような大きな筋では多量の製剤が必要で,保険適用の投与量では効果が不十分となってしまう.同じ下肢痙縮でも,槌趾・足関節内反足では対象となる筋は後脛骨筋・長趾屈筋であり,小さい.そこで,槌趾・足関節内反足に伴う疼痛のために歩行に支障を来すようになった慢性期片麻痺患者にBTX-A 100単位という少量を後脛骨筋・長趾屈筋に投与したところ,槌趾・足関節内反の改善を認めただけでなく,下腿三頭筋にBTX-Aを投与しなくても,踵荷重が改善した.その機序に関する考察を含めて報告する.
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