Japanese
English
特集 リハビリテーションにおける精神科的対応
うつ状態への対応
Taking Care of Depressive Patients in Rehabilitation.
副田 秀二
1
,
中村 純
1
Shuji Soeda
1
,
Jun Nakamura
1
1産業医科大学精神医学教室
1Department of Psychiatry, School of Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
うつ状態
,
うつ病
Keyword:
うつ状態
,
うつ病
pp.1009-1013
発行日 2000年11月10日
Published Date 2000/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109349
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はじめに
患者のうつ状態はリハビリテーション医療においても稀ではない.突然に身体障害をもつことは,心因の側面のみをとっても個人差はあれ,自らの存在価値の喪失感,劣等感,絶望感などを伴う体験である.Galynkerら1)は,内科あるいは外科的疾患によるリハビリテーション施設への入所患者44人(男性21人,女性23人)中,抑うつ症状(Hamilton Rating Scale for Depressionにて13点以上)を有したものは14%にのぼり,何らかの精神科的症状があることと入所期間が長引くことには関連があると報告した.Turnerら2)は,身体疾患に基づく機能障害に関連する慢性のストレスは抑うつ症状のみでなく大うつ病の危険因子としても有意であったと報告した.Tiller3)は,脳卒中後のうつ病の出現頻度は25~30%で,治療しなければ7,8か月以上続き,病前の社会的・身体的活動性を取り戻せない可能性を指摘した.
さて,身体的な診療が中心となる一般診療科では,身体的訴えに主眼が置かれるあまりに,精神症状が見逃がされて過度の検査や不適切な治療につながる可能性を指摘する報告4)もある.たとえば,慢性疼痛を訴える患者の中にはうつ病,不安,身体表現性障害,物質乱用者など,精神科的対応を要する者が含まれ,慢性疼痛の要因への包括的な理解と対応の重要性が指摘5)されている.
そこで,うつ状態のさまざまな特徴と対応への理解が必要になる.
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