一頁講座 神経心理学的症候
純粋失読 alexia without agraphia
鈴木 匡子
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1東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻高次機能障害学
キーワード:
失読
,
失書
,
なぞり読み
Keyword:
失読
,
失書
,
なぞり読み
pp.977-978
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109339
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症候の特徴
自分で書いた字を読めない状態.すなわち,話すことや字を書くことには障害がないのに,字を読んでその意味を理解することが困難となる.症例によって,一文字ずつは読めるが単語をまとめて読めない逐字読みや,見ただけでは読めない字を,指でなぞらせたり(なぞり読み,schreibendes Lesen),手掌に書いてやったりすると読める現象が見られることがある.漢字とかなの失読の程度は時に異なるが,明らかな差異はないことが多い.数字の読みはしばしば保たれる.右同名性半盲または右上四分盲,色名呼称障害を伴うことが多い.また,日本人の場合は,純粋失読と呼ばれる場合でも漢字の失書(漢字の想起困難)はよく見られ,その程度もさまざまである.
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