Japanese
English
研究と報告
純粋失読の1例—その回復過程を中心に
A Case of Alexia without Agraphia
工藤 順子
1
,
工藤 達也
1
,
浅野 裕
1
Junko Kudo
1
,
Tatsuya Kudo
1
,
Yutaka Asano
1
1市立室蘭総合病院祝津分院
1Department of Neuropsychiatry, Muroran City Hospital
キーワード:
Alexia without agraphia
,
S. L. T. A.
,
“Vorgestalt”
,
“Cue”
,
Comprehension
Keyword:
Alexia without agraphia
,
S. L. T. A.
,
“Vorgestalt”
,
“Cue”
,
Comprehension
pp.57-64
発行日 1982年1月15日
Published Date 1982/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203365
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抄録 57歳両手利きの男性で,3度の脳血管障害の後でいずれも純粋失読症状を呈した症例を報告した。右同名半盲,色名呼称障害,右半側空間無視,写字障害,漢字の想起困難を合併していた。CTスキャンでは左後頭葉内側面に低吸収領域があり,左後大脳動脈領域の梗塞が示唆された。著者らは各々の発作後の失読症状の推移を経時的に観察したところ次のような特徴が見出された。1)失読症状は全般に回復傾向にあった。2)音読不可能な時期においても文字形態の視覚的把握は可能であった,3)音読がS. L. T. A. で回復するまでの音読不可能な場合にも,しばしば文字のおおよその意味を把握することが可能なことがあった。
著者らは特に 3)の点に注目したが,Vorgestalt的把握,“cue”の効果などが関与していることを推定した。
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