巻頭言
「リハ医」でなく「リハ科医」
椿原 彰夫
1
1川崎医科大学リハビリテーション医学教室
pp.705
発行日 2000年8月10日
Published Date 2000/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109285
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一般病院の入院期間短縮,回復期リハビリテーション病棟の新設,公的介護保険の導入など,医療・福祉制度は急速に変革を遂げ,リハビリテーションの重要性は年々高まっている.しかしながら,「リハビリテーションは,どの方向へと向かうべきであるか?」という命題は解決されないままに,制度だけが一人歩きしている気がする.事実,リハビリテーション専門医の数が800名に満たないわが国の現状で,果たして回復期リハビリテーション病棟など運営できるのであろうか.
先日,ある医学会の学術大会のStroke Care Unitに関するシンポジウムに参加して,あまりのことに驚いてしまった.「……早期リハビリテーションが必要です」というところまでは良かった.しかし,「当院では脳外科医がリハ医をしています」との発言には,居たたまれない思いを抱いた.「リハ医」とは無論,「リハビリテーション医」のことである.「そんなに簡単に脳外科医がリハ医になれるはずがない.自分は,リハビリテーション医学のことをこんなに何年も勉強したのに……」と,思わず心の中でつぶやいたものである.
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