巻頭言
リハ医の存在意義とは
新舎 規由
1
1静清リハビリテーション病院
pp.831
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102547
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人生の分岐点なるものがあるとすれば,私の場合は事故で頸髄損傷,四肢麻痺となり車いすの生活を余儀なくされた医学部3年,22歳の春がそれに当たるのだろうか.医学部3年の春といえば退屈だった教養の授業が終わり,解剖実習などやっと医学部らしい授業が始まった矢先である.それまでどちらかといえば勉強よりもクラブや遊びに全力投球していた私でさえ「これからは気合入れてやるぞ」と思い始めた時期だった.突然の事故により車いす生活とはなったものの,生来の楽観的な性格からか医学部にいるんだから普通にやっていれば当然このまま医師になれるだろうと高を括っていた.十分普通ではない状況に置かれているのも関わらず…….
受傷して1~2か月経った頃か,時期ははっきりとは覚えていないのだが整形外科の教授室に父親と一緒に呼ばれ,執刀してくれた教授から「君はこの体じゃもう医者にはなれないから医学部を辞めて九州の大分にある『太陽の家』にでも行ったほうがいい」と言われた.医学部に入ったからには通常は医師になる以外の選択肢は残されていない.「自分の今までは何だったのか」と一瞬目の前が真っ暗になり奈落の底に突き落とされたような気がした.
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