Japanese
English
実践講座 リハビリテーションに必要な統計学
5.分割表とLogistic回帰分析
Contingency Table and Logistic Regression.
池田 正人
1
Masato Ikeda
1
1産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経済学教室
1Department of Occupational Health Economics, Institute of Industrial Ecological Sciences, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
分割表
,
Logistic回帰
Keyword:
分割表
,
Logistic回帰
pp.557-563
発行日 2000年6月10日
Published Date 2000/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109251
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はじめに
今回のテーマは図1に示した2つの部分,結果の変数がカテゴリカルである場合である.分割表による解析は長い歴史があり,特に医学分野では,病気の発生,死亡の発生,あるいは治癒に関係する要因の解析が多いことから馴染みの深いものである.分割表の最も簡単なものは2×2表で4つの目表とも呼ばれた.その解析はx2検定と相場が決まっていた.ここで強調しておきたいのは,解析はx2検定という具合に短絡するのではなく,2段階で考えていただきたい.第1段階は,「率に差があるか」,「率の差はどの程度か」,「率の相対的な大きさ,一方が他方の何倍になっているか」,「率にtrendがあるか,段階的に率が上昇あるいは下降しているか」を見る.第2段階として「率は同じ」,「率の比は1」,「率のtrendはない」を帰無仮説とした検定を行う.有意であれば観察した傾向は存在すると判断でき,有意でなければ観察した傾向を主張するのを控える.第2段階でx2検定がしばしば使われる.
外見が非常に似ている分割表もよく見るとデータの由来が異なり,したがって,解析の方法も異なることに注意しなければならない.次節で種々の分割表を説明したい.
鳥瞰図と矛盾するが,実はLogistic回帰分析は,分割表の解析のほとんどに適用可能なのであって,要因の関連を検索する解析ではLogistic回帰分析だけで十分である.日本の医学データ解析に登場するのは1970年代半ばであったと思う.変数が連続であると分割表が作成できないので,そのような解析は分割表に基づくx2ではできない.しかし,Logistic回帰分析は原因が連続変数の場合も問題ない.
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