Japanese
English
講座 運動系の身体機能評価と理論
3.筋持久力
Muscle Endurance.
白土 修
1
,
川瀬 真史
1
,
伊藤 俊一
2
Osamu Shirado
1
,
Masafumi Kawase
1
,
Toshikazu Ito
2
1美唄労災病院/腰痛・脊損センターリハビリテーション科
2千歳リハビリテーション学院
1Center for Spinal Disorders, Bibai Rosai Hospital
2Hokkaido Chitose Institute of Rehabilitation Technology
キーワード:
筋持久力
,
筋収縮
,
評価法
Keyword:
筋持久力
,
筋収縮
,
評価法
pp.357-362
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109208
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はじめに
「筋力」とは,筋の発生する力(force)であり,瞬発力と持久力に大別される.前者は筋収縮により発生する最大の張力であり,臨床の場で特に筋力が問題となる場合,一般的には最大筋力(maximum strength,peak torque)を意味する.一方,後者は一定の張力で収縮を保つ能力(静的持久力,指標:時間),および繰り返し反復収縮する能力(動的持久力,指標:回数)を意味する.
リハビリテーション医学の分野において,筋力の評価は,疾患の診断,重症度の判定に不可欠である.その結果,筋力低下を認める患者においては,筋力増強訓練をはじめとするリハビリテーション訓練が処方・施行される.しかし,ただ単に筋力を強化し,筋力低下を改善させることが,患者のactivities of daily living(ADL)向上に直接的に結びつかない場面も多々経験する.ADL上,ある動作を行う際に適切な筋力は不可欠かつ重要ではあるが,その動作を反復・持続させ,より質の高い動作を可能とするためには,筋自体の持久力が必要とされる.加えて,全身の筋活動を必要とする動作では,呼吸循環系の持久力が必要となってくる.
持久力の問題は,神経・運動器疾患をはじめとして,リハビリテーション関連の多くの疾患に関わってくる,したがって,筋持久力を的確に評価することは,疾患の診断はもとより,訓練の経過,治療の効果判定,社会・職業復帰を検討するうえできわめて重要な側面を持っ.前述したように,持久力は骨格筋の持久力と心肺系の持久力とに大別される.本稿では,特に前者,すなわち筋持久力に関して,その評価と基礎的な理論に関して概要を述べる.
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