Japanese
English
講座 言語聴覚障害学―理論と臨床―
6.精神活動低下を伴う失語症患者へのアプローチ
Communication Interventions for Persons with Aphasia Complicated by Cognitive Deficits.
高橋 雅子
1
,
綿森 淑子
1
Masako Takahashi
1
,
Toshiko Watamori
1
1広島県立保健福祉短期大学言語聴覚療法学科
1Department of Communication Disorders, Hiroshima Prefectural College of Health and Welfare
キーワード:
失語症
,
精神活動低下
,
痴呆
Keyword:
失語症
,
精神活動低下
,
痴呆
pp.1129-1134
発行日 1999年12月10日
Published Date 1999/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109119
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はじめに
厚生省がまとめた「98年老人保健施設調査」によれば,老人保健施設(以下,老健施設)入所者の8割以上に痴呆症状があり,前年に比べ1割近く増加しているという.言語聴覚士(以下,ST)の職場が病院から老健などの老人施設,地域へと広がるなか,対象となるコミュニケーション障害者の様相も変化しており,精神活動低下/痴呆が高率に存在する場でのSTの専門的役割の確立は焦眉の課題である.しかし,理論と実践の検討が重ねられ,方法論も確立されてきている失語症と異なり,精神活動低下を伴う失語症や,痴呆患者は,従来,積極的な言語訓練の適応に乏しいとされ,訓練対象から除外されがちであったこともあり,評価や働きかけの方法についての研究が立ち遅れている.
本稿では精神活動低下や痴呆をもつ高齢者のコミュニケーション障害の実態を概観し,痴呆患者への対処法を軸に精神活動低下を伴う失語症患者への働きかけの方法について検討する.
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