Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
『チボー家の人々』における「父の死」―強制的な死の受容
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.889
発行日 1999年9月10日
Published Date 1999/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109064
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マルタン・デュ・ガールが1920年から19年の歳月をかけて書き上げた『チボー家の人々』(山内義雄訳,白水社)の「父の死」という章には,チボー氏の臨終場面が描かれているが,そこでは,生に強い執着を示すチボー氏に,無理矢理死を受容させようとする司祭が登場するため,安易な「障害受容」の弊害を考えさせる場面になっている.
チボー氏は,回復不能な病いのために何か月もの間,疼痛と睡眠障害に苦しんでいた.そんな彼の苦しみを癒し,安らかに死を迎えさせようと,周囲の人々はヴェカール司祭を呼んだのである.
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