Japanese
English
研究と報告
リハビリテーション医療期における外傷性脊髄損傷患者のうつ状態
Depression following Traumatic Spinal Cord Injury in the Phase of Rehabilitation Medicine: A Prospective Study.
南雲 直二
1
Naoji Nagumo
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
1Research Institute, National Rehabilitation Center for the Disabled
キーワード:
うつ状態
,
外傷性脊髄損傷
,
痛み
,
性格
Keyword:
うつ状態
,
外傷性脊髄損傷
,
痛み
,
性格
pp.763-768
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109035
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はじめに
脊髄損傷患者のうつ状態については,1950年前後に臨床的研究が相次いで行われ,うつ的ではあるが精神科的疾患ではないとした報告が多い.その後,リハビリテーションの分野では,脊髄損傷患者のうつ状態は受傷後に経過しなければならない正常な悲嘆の一段階であり8,12),ほとんどの患者にみられるもので,そうでないのは否認による25)との考え方が広く支持されるようになった.しかし,1980年代に入ると,再び臨床的研究が行われ,患者の一部に大うつ病や小うつ病が見いだされた7,10,13-15,18).これら近年の研究が,脊髄損傷患者のうつ状態をすべて正常な悲嘆とみなして対応してきたそれまでのリハビリテーションの方法に修正を迫った意義は大きいが,しかし,基本的な問題である病因に関する知見はいまなお限られている.
そこで今回,リハビリテーション医療期における外傷性脊髄損傷患者のうつ状態とその発現に影響を及ぼすと考えられる臨床要因を明らかにするため,うつ状態の発現を前方視的に調べ,うつ状態を示した患者とそうでない患者を比較検討し,若干の知見が得られたので報告する.
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