Japanese
English
研究と報告
外傷性脊髄損傷者の遅発性抑うつ状態の追跡的研究
Late Depression following Traumatic Spinal Cord Injury: A 2-year Follow-up.
南雲 直二
1
Naoji Nagumo
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
1Research Institute, National Rehabilitation Center for the Disabled
キーワード:
抑うつ状態
,
気分変調症
,
外傷性脊髄損傷
,
長期適応
,
リハビリテーション
Keyword:
抑うつ状態
,
気分変調症
,
外傷性脊髄損傷
,
長期適応
,
リハビリテーション
pp.595-600
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107900
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はじめに
脊髄損傷患者の抑うつ状態は受傷後比較的早期にみられるものと,数年経た時期にみられるものに分けられる1).早発性抑うつ状態は従来身体機能喪失後の正常な悲嘆であると考えられ2,3),実際そうした対応がなされてきた4).しかし脊髄損傷患者の一部に診断しうる抑うつ状態が見いだされ5-9),Judd,et al7,8)は抗うつ剤治療が有効であったことから悲嘆との鑑別を強調している.
遅発性抑うつ状態については,最近,各種評価尺度による知見が報告されるようになった10-12),それらによれば,抑うつ状態の有病率は13~31%とされる.頸髄損傷者10),高位頸髄損傷者11),および女性12)に多発することが指摘されているが,報告者間での一致はみられていない.これらの有病率が一般対照のそれより高いか否かに関しても一致がみられず,とりわけ症候学的特徴が不明であることなど未解明の点が多いといえる.
本研究は南雲ら11)の結果を2年後に追跡したものである.目的は,1)社会復帰後数年を経た在宅外傷性脊髄損傷者の抑うつ状態の有病率と経過を明らかにすること,および,2)従来検討されなかった痛みや人格特性を関連要因に加え,抑うつ状態の成因に関する知見を得ることである.
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