Japanese
English
研究と報告
スモン患者の下肢関節運動と歩行
Movements of Lower Extremities and Walking in the Patients with Subacute Myelo-optico-neuropathy (SMON).
美和 千尋
1
,
高田 政夫
1
,
清水 英樹
1
,
柴田 澄江
1
,
杉村 公也
1
Chihiro Miwa
1
,
Masao Takada
1
,
Hideki Shimizu
1
,
Sumie Shibata
1
,
Kimiya Sugimura
1
1名古屋大学医学部保健学科作業療法学専攻
1Department of Occupational Therapy, Nagoya University School of Health Sciences
キーワード:
スモン患者
,
下肢関節運動
,
歩行
Keyword:
スモン患者
,
下肢関節運動
,
歩行
pp.57-61
発行日 1999年1月10日
Published Date 1999/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108879
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はじめに
スモン(subacute myelo-optico-neuropathy;SMON)は,わが国では昭和33年頃からキノホルムの長期大量投与により発生した疾患で,下肢優位のニューロパチーを主体とした疾患として知られている1).スモン患者の脊髄後索と側索に限局した障害は下肢の感覚異常を,視神経障害は視力低下を起こすため,移動能力の低下や歩行障害の原因となり,日常生活の自立度に影響を与えている2).また,歩行障害はスモン患者の生活の質(Quality of life;QOL)を低下させることにつながっている3).したがってスモン患者のリハビリテーションでは歩行能力を維持させることが大きな課題の一つとなっている.しかしながら,スモン患者の歩行障害を定量的に評価した論文はあまり多くない4).
歩行は筋や関節からの感覚入力と重心の移動,下肢筋力,平衡感覚や小脳機能,関節の可動性などのさまざまな要素から成り立つ運動機能であるが,とりわけ下肢の各関節運動能力は歩行における重要な要素の一つであると考えられる.
そこで今回,スモン患者における歩行障害を評価するため,一定距離の歩行にかかる時間および一定回数の下肢の関節運動時間を測定し,スモン患者の下肢における障害の程度を評価するとともに,その障害の原因として考えられている下肢の筋力障害と感覚障害および加齢の影響について検討した.
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