Japanese
English
実践講座 障害者の加齢に伴う問題と対策・3
スモン
SMON:subacute myelo-optico-neuropathy.
小長谷 正明
1
Masaaki Konagaya
1
1国立病院機構鈴鹿病院
1National Hospital Organization Suzuka Hospital
キーワード:
キノホルム
,
薬害
,
スモン(亜急性脊髄視束神経症)
,
大腿骨頸部骨折
,
Barthel Index
Keyword:
キノホルム
,
薬害
,
スモン(亜急性脊髄視束神経症)
,
大腿骨頸部骨折
,
Barthel Index
pp.233-238
発行日 2009年3月10日
Published Date 2009/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101464
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はじめに
スモン(亜急性脊髄視束神経症,subacute myelo-optico-neuropathy;SMON)は腹痛・下痢などの腹部症状に引き続いて,特有のしびれ感が足先よりはじまり,下肢全体あるいは胸・腹部にまで上行する神経疾患である.このような感覚障害に加えて,下肢の痙縮や脱力をきたし,重症例では視力障害による失明,さらには脳幹障害による球麻痺での死亡例もあった1).1960年代にわが国で多発し,それ以前にはなかった疾患であり,同時に各地で集団発生したことから新しい感染症が疑われ,深刻な社会問題となった.
1970年に整腸剤キノホルム(chinoform, clioquinol)の副作用が原因とする説が提唱され,中央薬事審議会によって同剤の使用が禁止されてから新たな患者の発生はなくなった.患者のキノホルム服用歴などより,疫学的にはスモンの原因は本剤であるのは明らかであり,1972年末までの患者数は9,249人で,1万2千人以上に達したと推定されている1).2008年春現在,約2,177人がスモン患者として認定されており,それよりも若干上回る数の患者の存在が推定される.薬害であるスモン患者の恒久対策として,厚生労働省難治性疾患克服研究事業「スモンに関する調査研究班」は,従来より毎年1,000人前後の患者検診を続けてきており,その結果からみた本症の長期経過とさまざまな問題について概説したい.
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