巻頭言
「リハビリテーション医」とは,を求めて
佐直 信彦
1
1東北労災病院リハビリテーション科
pp.1117
発行日 1998年12月10日
Published Date 1998/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108817
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私は1968年4月リハビリテーション医学を求めて卒業後1年の自主研修(インターン)終了とともに東北大学医学部温泉医学研究施設(後のリハ医研)・鳴子分院内科(1994年廃院)に入局した.入局後,まず内科臨床医として独り立ちできる医療技術を教えられた.入局3年目の頃,改めてリハビリテーションの臨床医としての存立を考えたとき自分には運動療法のテクニックもない,運動学や義肢・装具の知識もないことを思い知った.当時わが国には,リハビリテーション医学講座はもちろんのこと,リハビリテーション医学を修める既成のコースがあったわけではない.道無き領域といっていい.リハビリテーション医を目指すためには理学・作業療法士の学校に入って勉強し直さなければならないのではと,転向を真剣に考えたこともあった.その後は,“障害を対象にした医学”の理念に立脚し,大学で13年,東北労災病院にあって18年余,リハビリテーション医学・医療の独自性の確立について真剣に取り組んできたと自負している.今になって振り返るに,私のリハビリテーション医への道は非常な迂回と偏倚に満ち,無駄も多かった.然るに,納得のいくリハビリテーション医像が自分のなかに確立したかというと,未だしである.
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