特集 リハビリテーション医療の問題点
リハビリテーション医学のモデルを求めて
中村 隆一
1
1東北大学医学部附属リハビリテーション医学研究施設
pp.611
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105887
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大学での医学教育,研究を中心にリハビリテーション医学に課せられた問題を考える.我が国の医学教育は医学的あるいは生物医学的モデルを中心にして構成されている.病因-病理-発現の図式と臓器別に従って予防,診断,治療が体系化されていると言っても過言ではあるまい.そして,それ以外の思考法を各専門分野の方に理解させるには,独自の哲学,理論,モデルを確立しなければ,至難の技であるように感じられる.かつては,かなり機能的アプローチをとっていた整形外科学も,今では,臓器としての骨関節系や神経筋系の病理を対象にする外科の分野であるかの様相を呈している.リハビリテーション医学は古典的な医学的モデルに従った一分野であり,専ら機能中心主義に留まるのか,あるいは多くの臓器機能のバランスを考えて,primary-careに近いものになっていくのか,それとも精神医学と同様にして自己の立脚すべき新たなモデルを求めるべきなのか,何の答えも得られていない.
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