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はじめに
一般にリハビリテーション効果を考える際に,解決されねばならぬ幾つかの問題点がある.第1に,“効果”をどのような指標を用いて把握するか,つまり障害の評価の問題である.ある1人の患者の障害像を捉える場合,種々のレベルから評価することが可能である.生命の予後,身体的・知的機能の統合,日常生活における動作能力と独立性,社会生活や生産活動への参加の度合,創造的生涯などについて適切な指標と尺度で評価されねばならない.
第2に,リハ効果を実験的に比較するため対照群を置いたcontrol studyが必要である.しかし,臨床医学の場ではこのような実験が非常に困難であるばかりか,たとえリハ群と対照群の比較が実施されたとしても,身体的回復のみを第一義とした現在のリハ医学に痛烈な批判がある1)なかで,どのようなプログラム内容をもってリハ群と断定し,対照群と区別することが可能であろうか.このような問題を内蔵している.
われわれは永年にわたり,脳卒中患者のリハビリテーションを手掛けてきた.今日までも,入院中の患者の神経生理学的機能や日常生活動作の回復・改善について分析をくりかえし,また,アンケート調査や在宅訪問により退院患者の実態を調査し再三にわたり報告してきた.さらに函館市衛生局や保健所の協力のもと,10年間にわたり住民調査を実施し報告した2,3).最近は脳卒中患者の日常生活構造を多元的に捉えるため,生活時間調査も実施している6,7).
今回,本稿のためにこれらのデータを再検討し,機能回復や生命の予後についてリハビリテーション効果を論じ,とくに障害者の“生活の質”(qualty life)を捉える生活時間調査がリハビリ評価として有用であることを知ったので,これらを総括してリハ効果について論述する.
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