「風の歌が聴きたい」―これぞリハビリテーション映画

　私は大林宣彦監督の作品，なかでも尾道3部作が好きで，尾道を訪ねたときはファンクラブにも入り，「さびしんぼう」グッズのオルゴールも買った．大林ワールド，それは甘く切ない世界．説明的な映像が多いにもかかわらずうるさくない．むしろ，答をきちんと説明してくれることにやさしさを感じる．

　新作「風の歌が聴きたい」は，実在の聴覚障害者でトライアスロンの選手でもある高島良宏・久美子夫妻をモデルとした紛れもなく人生讃歌映画．障害を持っていてもこんなにがんばれるんだということを徹底的に謳いあげる．こう書くと24時間テレビ風話題は敬遠したいという御仁にはソッポを向かれそうだが，役者や筋の運びもよく，北海道ロケあり，宮古島ロケあり，空撮ありということで2時間41分を飽きさせない．