Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
リハビリテーションにおける訓練機器には牽引器をはじめ数多くのものが日常臨床に用いられている.関節運動機器としては,自動運動・筋力増強の目的に用いられるCybexを代表とする機器と,他動運動・拘縮予防を目的とするCPM(Continuous Passive Motion)がある.後者はゆっくりした他動的運動の繰り返しが可能な装置で,関節内術後早期から適用することによって関節癒着防止や関節軟骨の治癒促進を期待できることから2,9),広く用いられるようになった.一方,その目的から考えてCPMでは多様な運動の必要性はなく,ほとんどが1自由度,すなわち1つのパターンの運動しか提供されない.また,機器自体も単純な構造で,運動に柔らかさをもたせる機構も装置にあそびを設ける程度の工夫しかされていないのが現状である7).
CPMの発展型として,安川電機は多自由度,すなわち特定の範囲であれば自由な運動が可能で,かつ任意にその運動軌道を入力(ティーチング)・再現(プレイバック)でき,また,センサーを組み込み,モータを制御することで運動の柔らかさを実現する膝用装置を考案した5).
本装置をプロトタイプとして,1995年,膝と股関節を同時に制御可能な装置を試作し,改良を重ねた結果,従来のCPMの対象以外にも,脳卒中,脊髄損傷,脳性麻痺など,広い範囲にわたる関節可動域(ROM)訓練が必要な例にも適応を拡大できた.本装置ではROM改善の目的よりも繰り返し運動に起因すると思われる筋緊張抑制10,13)が示され,CPMと区別する目的でTEM(Therapeutic Exercise Machine)と命名した.
今回,TEMに与えるべき柔らかさの程度を決定するための基礎的実験を行い,その影響を検討した.また,脳卒中の痙性肢に試用し,その柔らかさによる関節角度とトルクの変化についても検証した.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.