Japanese
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講座
リハビリテーションにおける治療(2)―関節可動域訓練
Rehabilitation Treatment (2): Range of Motion Exercise.
荻島 秀男
1
Hideo Ogishima
1
1リハビリテーションペインクリニックわらび診療所
1Rehabilitation Pain Clinic, Warabi Shinryosho.
キーワード:
結合織
,
関節
,
関節可動域訓練
,
rhythmic stabilization
,
日常生活動作
Keyword:
結合織
,
関節
,
関節可動域訓練
,
rhythmic stabilization
,
日常生活動作
pp.139-144
発行日 1979年2月10日
Published Date 1979/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104114
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はじめに
リハビリテーションにおける医学的リハビリテーションの治療目的は機能の維持,改善が中心になる事はもちろんであるが,関節可動域訓練を行う際には関節の生理的可動域と日常生活動作での機能(可動域)を十分考えておかねばならない.例えば肘関節の生理的可動域(いわゆる正常)は0°~135°-150°であるが,多発性関節リウマチでは屈曲拘縮と伸展拘縮の両者が起っているのが常である.この場合,生理的可動域の回復を目的に治療を行えぱ成功例はゼロとなるが,日常生活動作に最も必要な肘関節の可動域30°-110°を肩の内旋,外旋,前腕の回内,回外と併せて集中的に訓練し,同時に筋力を増強する事に時間を費せば効果的である.
人間の固有感覚受容を考える場合,末梢神経,腱と並んで関節は重要であり,人間の日常生活動作において関節の動きを欠く事は出来ない.その動作の内容により関節は伸展位を保持したり,中間位で保持されたり徴妙なコントロールを筋がフィードバックにより行っている.関節は高度に機能が細分化された結合織の集りであり,そのどの部分に障害があっても全体的な働きに制限が加わる.すなわち筋,筋膜,腱,靭帯,骨,軟骨,関節嚢,関節包,滑膜,血管,神経等,すべての組織が関節に集合しており,関節可動域訓練に際してはそれら出来るだけ多くの組織に関する十分な評価が治療の前提となる.また障害の原因,種類(中枢性や末梢性)などにより治療訓練の内容も当然変化を持たせるべきである.
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