Japanese
English
研究と報告
入浴時の湯温が循環動態と体温調節に及ぼす影響
Effects of the Water Temperature on Hemodynamic Change and Thermoregulatory Function during Bathing in Humans.
美和 千尋
1,2
,
岩瀬 敏
2
,
小出 陽子
3
,
杉山 由樹
2
,
松川 俊義
2
,
間野 忠明
2
Chihiro Miwa
1,2
,
Satoshi Iwase
2
,
Yoko Koide
3
,
Yoshiki Sugiyama
2
,
Toshiyoshi Matsukawa
2
,
Tadaaki Mano
2
1名古屋大学医学部保健学科作業療法学専攻病態作業療法講座
2名古屋大学環境医学研究所高次神経統御部門自律神経分野
3東邦ガス株式会社
1Division of Applied Occupational Therapy, Department of Occupational Therapy, Nagoya University School of Health Sciences
2Department of Autonomic Neuroscience, Division of Higher Nervous Control, Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University
3Toho Gas Co Ltd
キーワード:
入浴
,
循環動態
,
体温調節機能
,
湯温
Keyword:
入浴
,
循環動態
,
体温調節機能
,
湯温
pp.355-361
発行日 1998年4月10日
Published Date 1998/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108640
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はじめに
日本人では身体の清潔,疲労の回復,健康の維持などの目的により,ほぼ毎日入浴することが,習慣化している1).その入浴形態は,西欧のサウナ浴と異なり,頸部まで浸かる全身高温浴である.この全身高温入浴によるヒトの循環動態および体温調節系の変化に関しては,入浴時における心拍数と発汗量の増加,皮膚温・深部温の上昇,平均血圧の下降などが報告されている2-4).このように全身高温浴はヒトの体温調節系と心血管系に大きな影響を及ぼすため,心筋梗塞や脳血管障害の誘因になり得ることが報告されている4).
一方,入浴中の事故原因を究明し,その防止策を図るための「安全な入浴法」に関する報告もなされている6-8).それらの報告によると,安全な入浴方法とは,1)入浴時の浴室環境温と湯温の差を少なくするため浴室を加温し,ぬるま湯に入浴すること,2)発汗や利尿を抑えるため湯に浸かっている時間を短くすること,3)心臓への負担を軽減するために入浴水位を心臓より低くする半身浴にすること,であるといわれている.
しかし,実際にこのような入浴法が安全であるかを研究した報告は少ない.そこで,今回,38℃のぬるま湯が比較的熱めの湯である43℃の湯と比較し,どのような点ですぐれているのかを検討すると同時に,適切な入浴時間を概算することを目的として,安全な入浴湯温であるといわれている湯温38℃と日本人が好む熱めの温である湯温43℃がヒトの循環動態および体温調節機能に与える影響を経時的に観察した.
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