Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
ロビンソン・クルーソーの「障害受容」
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.87
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108580
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1719年に発表されたデフォーの『ロビンソン漂流記』(吉田健一訳,新潮社)は,ロビンソン・クルーソーという27歳の若者が,絶海の孤島に漂着し,その島で28年余りを過ごすという物語だが,そこには,当初自ら置かれた状況を嘆き悲しむだけだったロビンソンが,次第に現実を受け入れるようになっていく「障害受容」の過程が描かれている.
ロビンソンが無人島に流れ着いたのは,1659年9月30日のことである.島に着いたばかりの彼は,暗澹たる思いにかられて涙を流し,「何故天がその創造物をこれ程までに完全に窮地に陥れ,これ程惨めにし,(中略)暗い気持にさせるのか」と訝った.
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