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講座 航空宇宙医学における廃用症候群
6.宇宙環境における精神心理
Psychiatric Issues in Space Environment.
山口 孝夫
1
Takao Yamaguchi
1
1宇宙開発事業団JEMプロジェクトチーム
1National Space Development Agency of JAPAN/Space Station Department
キーワード:
宇宙環境
,
精神心理
,
隔離/拘束環境
,
国際宇宙ステーション
Keyword:
宇宙環境
,
精神心理
,
隔離/拘束環境
,
国際宇宙ステーション
pp.536-540
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108397
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はじめに
現在,米国,欧州,カナダ,ロシアおよび日本の国際協力のもとに,国際宇宙ステーション計画が進められている.この計画は,21世紀初頭に恒久的な有人宇宙施設(長さ:74m/幅:108m)を高度400kmに建設するものである.国際宇宙ステーションが完成すれば,人類は恒久的な宇宙実験施設を手に入れることができる.そして,宇宙滞在も長期化して,宇宙飛行士は3か月から半年間にわたり宇宙に滞在する予定である.しかも,宇宙飛行士の国籍は多種多様である.このため,国際宇宙ステーションでは,これまで経験しなかったような精神心理的な問題が出現すると思われる.
そこで本稿では,人間が宇宙環境に長期間滞在する場合に発生する精神心理的な問題点と,その対処方針についてまとめた.残念ながら,宇宙環境における精神心理的なデータで,体系的にまとめているものは少ない.これは米ソ冷戦状態での宇宙開拓競争に起因しており,米国も旧ソ連も自国のデータを全面的に公表することを差し控えていたからだと思われる.したがって,閉鎖/拘束状態において長期滞在を強いられた場合の精神心理的な問題点を考察するに当たり,宇宙環境でのデータのみでは,十分な事例数を得ることができない.このデータ不足を補うため,地球上でのシミュレーション研究で取得されたデータや,類似環境で生活する人間から取得したデータも参考にした.
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