Japanese
English
第1土曜特集 宇宙生命科学の進歩と医学応用への展望
宇宙環境に関連した各研究対象と最新の知見
宇宙環境による免疫システムの擾乱
Disorders of immune systems by the space environment
秋山 泰身
1
,
石井 寛斗
1
,
秋山 伸子
1
Taishin AKIYAMA
1
,
Hiroto ISHII
1
,
Nobuko AKIYAMA
1
1国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター免疫恒常性研究チーム
キーワード:
無重力
,
リンパ組織
,
免疫応答
Keyword:
無重力
,
リンパ組織
,
免疫応答
pp.577-582
発行日 2021年11月6日
Published Date 2021/11/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27906577
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
人類の宇宙への進出が進みつつある.ヒトが安全に宇宙滞在するためには,宇宙環境が人体に与える影響を明らかにすることが重要である.無重力をはじめとする宇宙環境が,免疫系に影響することがヒトや実験動物を使った研究で明らかとなりつつある.最近,NASAを中心に報告された一卵性双生児の宇宙飛行士の研究では,国際宇宙ステーション(ISS)での滞在が炎症に関わるさまざまな指標を上昇させることが明らかとなった.一方で,JAXAが行ったISSにおけるマウス飼育および人工的1G負荷実験により,宇宙環境によるリンパ組織である胸腺の萎縮が人工的な地上重力負荷で軽減されること,胸腺の萎縮は細胞増殖の抑制による可能性が高いこと,また脾臓では赤血球分化に関連する遺伝子が抑制されることなどが明らかとなった.今後は,ヒトとマウスの宇宙実験で得られた情報を統合し,宇宙環境がヒト免疫系に与える影響のメカニズム解明が期待される.
Copyright © 2021 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.