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内容のポイント Q&A
Q1 失語症の分類,責任病巣は?
失語症は,句の長さ,プロソディー,発話速度,構音の歪み等によっておおまかに流暢型と非流暢型に分けられ,さらに聴覚的理解と復唱の程度によって詳細に分類される.環シルビウス溝言語領域の損傷により,復唱が障害され,シルビウス溝周辺失語症候群が引き起こされる.この領域の外側の損傷では,音の処理には影響を与えないが,意味理解障害や喚語障害,時間的な言語処理の問題が生じる.言語の要素的な症状の集まりがそれぞれの失語症タイプを形成する.
Q2 失語症の評価法は?
失語症の評価は,患者の言語機能やコミュニケーション能力を正確に理解し,適切なサポートや治療を提供するために不可欠である.標準的な評価法には,標準失語症検査(SLTA)やWAB失語症検査がある.また,掘り下げ検査としてSALA失語症検査,失語症語彙検査(TLPA),失語症構文検査(STA),重度失語症検査,トークンテスト等が行われ,患者の詳細な特徴や残存能力を把握する.
Q3 失語症に対するリハビリテーションは?
失語症のリハビリテーションは残存機能を活かし,コミュニケーション能力と生活の質(QOL)の向上を目指す.機能改善を目的としたアプローチのみならず,代償手段の獲得も重視する.患者を取り巻く家族,友人,医療スタッフ,職場の関係者には,障害の理解と接し方についての理解を促し,リハビリテーションの円滑な進行に影響を与える理解が不可欠である.同時に,患者自身やその家族に対する心理的なアプローチも欠かせない.
Q4 最新の話題は?
失語症治療の主軸は言語聴覚療法であり,最近は遠隔地や医療施設に行けない患者にもコンピュータやタブレットを用いて評価や訓練を実施できる.また,オンライン仮想空間ソフトウェアで患者を個別のアバターで表現し,参加と学習の促進が試みられている.一方,経頭蓋直流電気刺激(tDCS)や反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を用いて,神経回路の活性化を促す治療は言語聴覚療法と組み合わせてよいアウトカムを示し,神経可塑性を向上させる可能性がある.
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